独仏首脳、ユーロ圏共通予算創設で合意 2021年までに運用開始

[ベルリン 19日 ロイター] - 独仏首脳は19日、ユーロ圏共通の予算を創設することで合意した。域内の投資促進のほか、加盟19カ国間の経済統合を推し進める。ただ詳細については今後、他の加盟国とともに詰めていくとした。 ~中略~


マクロン大統領はユーロ圏共通予算は2021年には運用が開始されると表明。「年間の歳入と歳出で構成される、真の意味での予算となる」と述べた。ただ予算の規模のほか、財源は加盟各国の負担になるのか、ユーロ圏全体の税収で賄われるのかといった詳細についてはユーロ圏財務相が年内に策定し、これに伴い必要な条約の変更はその次の年に実施されると述べた。

両首脳は文書で「EUは存続に関わる課題に直面している」との認識も表明。欧州の国境警察、および難民・移民問題を扱う機関の創設でも合意した。ただ、共通の銀行預金保護制度「欧州預金保険スキーム(EDIS)」など、主要な改革事項については大きく踏み込まなかった。

ブリュッセルに本部を置くシンクタンク、ブリューゲルのディレクター、グントラム・ウルフ氏は「すべてはこれから策定される詳細次第となる」と指摘。ただ「銀行同盟が完成されなければ、ユーロ圏は脆弱な状態から脱却できない」とした。
https://jp.reuters.com/article/de-fr-leader-agree-0619-idJPKBN1JF2NK(ロイター)


今回の約定は歴史的な合意となる可能性がある。イギリスの離脱からこれ以上の分裂はEU内のエリーとして看過できないといったところなのだろうか?運用の開始を2021年としたのはイギリス離脱の猶予期間が終了後を目標としていると見ればいいのだろう。
最大の壁はやはりドイツ国内世論であると考えられる。今までドイツはことある毎に、EU予算の創設には大反対してきた。EU内最大国家で財政的健全性も高いドイツの負担が増えるのは火を見るより明らかであるから、もっともな主張である。ドイツの緊縮姿勢、財政出動忌避はEU内の不和として悪名高いが、ドイツから見れば怠け者のEU圏内国家群の財政赤字を背負いたくないとの思いは十分理解できる。
規模は小規模から始まることが想定されるが、それでも賛成されるとは現状からははなはだ疑問である。メルケルは難民問題で政権基盤が揺らいでいるだろうに、よくやる。国民から総スカン食らいかねない合意に思えるのだが、勝算はあるのだろうか。